『掬月亭』　～玄関がない建物～

こんにちは。設計士の熊谷です。

ここでは『住宅の設計に関すること』『居心地の良い空間』『お役立ち情報』等々、載せていこうと思っています。よろしくお願いいたします。

先日、香川県高松市にある『栗林公園 掬月亭』に行ってきました。掬月亭はその名前の通り、お月見をするために造られた建築です。

実はこの掬月亭には、『玄関』がありません。建物の周囲がほぼ『縁側』で囲われており、お客さんは周囲の庭から直接建物に入るように設計されています。気兼ねなく縁側に腰掛けて風景や月を楽しむ憩いの場として使われ続けています。

また、通常建物には『正面』と『裏側』という、『魅せる面』と『機能的な面』が存在するのですが、掬月亭には玄関がないこともあり、四方すべてが『正面』・『魅せる面』になっています。水面越しから見える『面』、庭から見える『面』など場所ごとに違った雰囲気を楽しむことができるようになっています。

また、縁側は半屋外空間になっており、屋根がしっかりかかっているので『夏の日差し』は遮り、『冬の日差し』は取入れ『快適な居心地の良い』空間になるよう設計されていました。

室内から庭を見た時の『日陰と日向』のコントラストが美しいですね。

影をつくることで、光が当たっている『植栽』をより強調させています。ここもお庭を見せる工夫の1つです。