設計は気づかれないほどいい
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- Writer:小玉 祐樹
家づくりをしていると、「ここが良いですね」と褒められる部分と、
誰にも触れられないまま過ぎていく部分があります。
実は私は、その気づかれない部分にこそ、強い愛着を感じています。
例えば、部屋に入った瞬間の視線の抜け方。
窓の位置や壁の高さを少し調整するだけで、空間の印象は驚くほど変わります。
また、夜の照明計画も同じです。
明るさを足すのではなく、余分な光を抑えることで、気持ちが静かに整うことがあります。
こうした工夫は、図面を見ただけでは伝わりませんし、
住み始めてからも意識されることはほとんどありません。
それでも、「理由は分からないけれど落ち着く」「自然と長居してしまう」
そんな感覚につながっていれば、設計としては成功だと思っています。
建築の仕事は、目に見えるデザインを整えるだけではなく、
光や音、視線、空気の流れといった、言葉になりにくい要素を丁寧に重ねること。
住む人の暮らしの邪魔をしないことも、大切な設計だと考えています。
派手さはありませんし、写真映えもしないかもしれません。
それでも、年月を重ねたときに
「この家、やっぱりいいな」
そう思ってもらえる住まいを、これからも静かに積み重ねていきたいです。
この記事を書いた人
設計デザイナー
小玉 祐樹
Kodama Yuki