モザイクタイルミュージアム ~手のひらの感覚を、建築に。~
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- Writer:熊谷 直
こんにちは。設計士の熊谷です。
このブログでは、住宅の設計にまつわるあれこれを、日々の気づきや実例を交えながら綴っていこうと思っています。
「居心地の良い空間って何だろう?」という問いを大切にしながら、家づくりのヒントやちょっとしたお役立ち情報なども発信していきます。
日常の延長にある、ちょっと心地いい設計の話。
ゆるやかにお付き合いいただけましたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
先日、多治見市にある「モザイクタイルミュージアム」を訪れてきました。
美濃焼の産地として知られるこの地に、ひっそりと、けれど確かな存在感で建つこの建物。
設計は建築家・藤森照信さん。まるで土を手で握って、そのまま形にしたような、素朴で不思議な外観です。

初めてこの建物を見たとき、正直「なんだろう、これは」と思いました。
左右対称でもなく、いわゆる“美しいプロポーション”とも違う。だけど近づいていくうちに、その曲線や土壁のあたたかみ、空への抜け方に、じわじわと心が惹き寄せられていきます。

タイルの町・多治見の地場文化を尊重しながら、「手づくり感」と「使い込まれた味わい」が設計に落とし込まれているのを強く感じました。
私が特に心を動かされたのは、建物の外壁に見られる細かな割り肌や土の色。均一ではないことが、逆に空間に“呼吸”を与えているように思えました。

館内に足を踏み入れると、さらにその世界は深まります。
天井の高さの変化、光の落ち方、素材の切り替え。そのすべてが、手のひらの記憶を頼りに設計されたような、感覚的なやさしさに満ちています。
歩くたびに空間が生まれ変わる。そんな場所でした。

住宅も、これに似ている部分があると思うのです。
豪華な仕上げや見た目の派手さではなく、住まう人が自然に呼吸できること。
手で触れたときに心地よいと感じる素材や、朝日が差し込む窓の角度、家族がすれ違うときの距離感──そうしたひとつひとつの“感覚”が、空間を育てていきます。
設計は、線を引くことではなく、人の感覚にそっと寄り添うこと。
そんな当たり前のことを、モザイクタイルミュージアムは改めて思い出させてくれました。
私たちエーセンスでは、最初から設計士が直接お話を伺います。
「こうしたい」という言葉にならない想いも、遠慮なくお話ください。
美術館のように芸術的でなくてもいい。
けれど、毎日の暮らしが少しだけ丁寧になるような、そんな住まいを一緒につくれたら嬉しいです。
いつでも、お話しできる日をお待ちしております。
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