『豊田市博物館』から住まいづくりを考える
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- Writer:熊谷 直
こんにちは。エーセンス建築設計事務所の熊谷です。
先日、豊田市に新しくできた「豊田市博物館」を訪れてきました。設計は坂茂さん。紙管や木材など“身近な素材”を使いながらも、圧倒的に豊かな空間を生み出す建築家として、以前から私も強く惹かれていた方です。

実際に足を運んで感じたのは、「大きな建物なのに、人の居場所をとても丁寧に考えている」ということでした。広々とした空間がただ広がっているのではなく、人が立ち止まる位置や座る姿勢に合わせて光や風の流れが設計されている。展示を見る時間も、ただ歩き抜けるのではなく、思わず腰を下ろして考えたくなるような“間”が用意されているんです。

特に印象的だったのは、自然光の使い方。大きな開口部から入る光はやわらかく拡散し、展示物や壁面に陰影を与えていました。光が強すぎて疲れることもなく、かといって暗く沈むこともない。その加減が絶妙で、「光も建築の素材のひとつだ」と改めて実感させられました。

そしてもうひとつ魅力的に感じたのは、空間のスケール感です。展示室によって天井の高さが緩やかに変化し、人の感覚に寄り添った落ち着きがありました。大きな吹き抜けで開放感を感じさせる場所もあれば、少し天井を抑えて静けさを演出する場所もある。その切り替えがとても自然で、建物の中を歩いているだけで気持ちが整っていくようでした。

住宅を設計する立場からすると、この「人のスケールに合った空間づくり」はとても大切だと思います。天井が高すぎると落ち着かないし、低すぎると圧迫感がある。でも、その間をどう調整するかで空間の印象は大きく変わります。例えばリビングの天井は少し抑えて安心感を出し、窓越しに外の景色を広げることで広がりを演出する。そんな工夫は、日々の暮らしをぐっと快適にしてくれるんです。

坂茂さんの博物館を体験しながら、「大きな公共建築と、ひとりひとりの住まいの設計は繋がっているな」と感じました。どちらも大事なのは“そこで過ごす人が自然体でいられること”。そのためのスケール感や光の設計は、規模を問わず共通していると改めて気づかされました。
もしご自身の家づくりでも、「落ち着けるスケール感」や「光や風を取り入れた居心地の良さ」に興味がありましたら、ぜひ気軽にお話ししませんか?図面や数字の話だけでなく、「この時間にここで光を感じたい」といった小さな願いを大切にしながら、一緒に形にしていければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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