6月初旬 個の時代、組織の時代
さて、昨日久しぶりに建築系の講演を都内まで聞きにいった。
面白かった。
市場分析や今後の流れ、トレンド・・・など、まあよくある話をした後に印象に残っている話が
集客、営業、設計、施工、アフターまで内製化する「バンドルされた組織」の時代は終わり、
各セクションで得手不得手を見極め、外注化していく「アンバンドル化」されていくという話。
映画っぽい作りになっていうのだろう。
プロデューサーがいて、脚本、監督、撮影、照明、衣装、そして役者。当然、資金の調達をする人。
を、プロジェクトごとに集め、すすめ、そのプロジェクトが終わったら解散する。時限的なチームだ。
まあ、そうだろうな~と思った。
と同時に、自分はそうしないなという思いがある。あの日を思い出す。
2019年9月に千葉県に降り立った台風15号。
最大風速は60mを超え、会社の近所のゴルフ練習場の直径1mにもなる鉄骨の柱ごとなぎ倒された。
ちなみに木造住宅は風速50mで倒壊する。
県内だけでも被害は5万棟を超えた。
一時期、富津市や南房総市、鋸南の方の家の屋根は青いビニールシートに覆われていた。
当然、僕らの会社にもじゃんじゃか電話がかかってきた・・・・と言いたいところだが、県内全体が停電していたことから、
その電話の数に気づいたのはあくる日だった。
うちの規模の会社ですら200件を超えていた。
「となりの林の木が倒れて壁を貫通した。」
「瓦が飛んで行ったしまった」
「ガラスが割れてしまった」
etc
当然、建築中の工事もすすめなければいけないが、それ以上に、その対応に半年~一年はかかった。
当たり前ですが「全社、職種を問わず全スタッフ、全職人さんが一丸となって」がベースだ。
あの事を思い返す。
もし、時限的に「プロジェクトごとに集まられた外注チーム」制だったとしたら「一丸」の主体はどこにあったのだろうか。
営業担当なのか、設計なのか、工事管理なのか。
被災にあった〇〇さんの家”そのプロジェクトはもう過去に解散している”のだ。
”一丸”じゃなくては解決しえなかった。今でもそう思う。
組織を持っていて良かったと。
が、時代は進んでいく。アンバンドル化していくのだろう。
が、主体はどこなのか。誰が「この家作りを最高のものにする。」と考え「その後の家守り」までコミットするのか。
時限的に集まった「プロフェッショナルなチーム」といえば聞こえはいいが、コミットは薄れる。
それは、本当に顧客、施主にとって幸福な事なのか。売り手の「経済合理性からくる最適化」ではないのか。
正直わからない。
わからない時は「好きにやる」。と決めている。
集客も、デザインも、実施設計も、現場管理も、全て内製でいくと心に決めている。
経済合理性から離れたとしても、そう決めている。