3月下旬 何も言うことがない
さて、外は春の嵐です。
桜も蕾のまま4月に突入しそうです。ようやく明日から20度超えの予報が。
春遠からじ。来週には満開でしょうか。
さて、設計部のスタッフから「自社の中での磨きあいも大事ですが、蛸壺になる。外部の設計事務所や建築家物件を見に行きたい」
のようなオファーがあったので、まあ気持ちは分かる、ということで、いくつか企画。
自身も、コロナなどがあり、内向きになっていた思考を少し開こうと、年に数回、全国津々浦々、出向こうかなと。
※できれば海外の視察も年内には。
で、今月、香川、愛媛に2社5物件視察。2泊3日間の旅。
大変勉強になりました。ご協力いただいた企業様。ありがとうございます。
久しぶりにお会いしたその企業の経営者の方が、開口一番「久しぶりだね~。でも、お互い言いたいこともないし、話す内容もないしね~」と。
思わずプフっと苦笑してしまうと同時に、わが意を得たり。
そう、お互い違う地で、違う哲学で、違う目標、動機で経営していて、「お互いに言いたいことがないしね」って言葉はいい!
本当にいい。
ともすれば、誰も聞いていないのに、自分の仕事術やら自分が一番初めに発見した事にしたい成功法則とやらを
不特定多数が目にするSNSで声高に発信する今今。
「お互いにいいたいこともないし、特に話もない」は、いい。
本当にそう思う。
自分の仲間と、哲学と、残量が半分を切った”情熱”を片手に、自分の持ち場でただただ咲けばよい。
そこに良い日常が有りさせすれば良い。
あの一言でホントに救われる。
とはいえ、現役のプレイヤーにとってはデザインや設計、施工の方法論や技術、発想を得るにはきっと良い視察だった。・・・と信じたい。
さっきの言葉と矛盾するようだけど、夜、他の経営者と酒を飲めるのもいい。
悩みも色々で。
「会社の飲み会要論。不要論」とか、
「中小企業の中堅キャリアパス未設定問題」とか、
「裁量の最小範囲と最大範囲の設定」とか。
まあ、グラデーションはあれど、なんとなく同じような感じだ。
だからこそ、言いたいことはない。は正しい。
従業員500人以下の中小、零細企業かつ、オーナー企業は、
社長がやりたいこと、表現したい事の箱でしかない。※語弊も批判もあるだろうが。
自らの哲学を示し、合わない人は去り、合う人は残る。そこに魅力があればまたこの指とまる。社会がそれを有用だと思えば残り、無用だと判断したら市場から退場させられる。
いたってわかりやすい。
どうせなら、全員にそっぽ向かれ、最後、仮に1人ぼっちになったとしても、面白くユニークで、
「そこにあるニーズ」にこたえられる企業にしたいなとも思う。
これもまた、「話すことがない」に通じてよい。
さて、次回の視察も決まった。皆がインスタをフォローし日本の工務店、建築会社の憧れる企業様だ。
が少しだけシニカルな事をいうと、会社側が御膳立てしレールを敷いた、この手の視察は実はデザイン、設計力の向上には寄与しない。とは言わないが寄与しにくい。
と、個人的には思う。体感値10%程度だろう。エビデンスはない。
デザインはデザイナーが「カスタマーの心にグッと来る、感動を突き刺す!」という思いがおこりであり、かなり内発的な動機が、スタートだ。
外発的、経営者が偉そうににのたまう「企業としてデザイン力の向上!!」のような標語は1年後にはゴミ箱に捨てられる。
要は「突き刺す!側」が何かを差し出さないとおそらく思い出作りでおわり、なんとなく仕事感のある旅行で終わる。
が、それもそれで良しと思っている。
昔、自分が若い頃、インプットの機会もそのステージもなかった。あのときに、「こんなものがあればいいのに」が、今のうちの施策の根幹だ。
あの頃の自分であれば心底喜んだ機会、企画。
もうそれで良い。繰り返しになるが企業は、この会社は、私の表現の場でもある。
どんな映画を、どんなシナリオで。どのキャスティングで演じてほしいのか。プロデュース。
ステージングと配役が仕事だ。
皆が踊りやすいように。演じやすいように。
せめて邪魔だけはすまい。くらいしか思い浮かばない。
要は言いたいことがない。
そう、社内にも社外にも世間にも社会にも政治家にも言いたいことがない。
表現したいことはSNSで叫ぶのではなく、日常の暮らしの中で表現していければ良い。