加藤栄三東一記念美術館 ~風景との対話~
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- Writer:熊谷 直
こんにちは。設計士の熊谷です。
このブログでは、住宅の設計にまつわるあれこれを、日々の気づきや実例を交えながら綴っていこうと思っています。
「居心地の良い空間って何だろう?」という問いを大切にしながら、家づくりのヒントやちょっとしたお役立ち情報なども発信していきます。
日常の延長にある、ちょっと心地いい設計の話。
ゆるやかにお付き合いいただけましたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
岐阜公園を歩いていると、ふと視界に入る静かな建物があります。
それが「加藤栄三・東一記念美術館」。この日は中に入る時間がなかったのですが、外観だけでも心に残る空間体験がありました。
コンクリートと自然石を基調とした落ち着いた佇まいは、まわりの木々や山並みに溶け込むように設計されており、まるで建築が「ここに建てられるべきだった」と語っているような存在感を放っています。建物のスケール感がとても絶妙で、過度に主張することなく、訪れる人の歩幅や視線の高さに自然と寄り添ってくるように感じました。
入口までのアプローチは、ごく緩やかで、少しずつ美術館の全貌が見えてくるような構成。
手すりの高さ、石の割り付け、壁面のマチエール──どれも控えめでありながら確かに意図があり、ディテールの積み重ねによって静かな品格が醸し出されていました。
特に印象的だったのは、建物が背後の金華山と対話しているように感じられた点です。屋根の形状や外壁の陰影が、周囲の自然光を柔らかく受け止め、時間帯によって異なる表情を見せてくれるように思いました。建物の輪郭が、風景の中に“余白”として機能しているような感覚。とても心地よいバランスです。
私が住宅設計をするうえでも、こうした「風景との対話」はひとつの大きなテーマになります。建物は単体で完結するものではなく、必ず外部環境とつながっていくもの。その土地の光や風、植生、地形にどう寄り添い、どのように“場”をつくるか。そうした視点を、この美術館の外観は静かに教えてくれているようでした。
内観を見ずとも、建築の哲学が感じ取れる──そんな稀有な存在に出会えたことが、思いがけない収穫でした。
今度はぜひ、中に入って、作品と建築の調和もじっくり味わってみたいと思います。
エーセンス建築設計事務所では、ご相談の最初の段階から設計士が直接お話を伺います。
お客様の「こうしたい」を、丁寧に形にしていく──そんな家づくりを、私たちは大切にしています。
「設計士とつくる家」に少しでもご興味をお持ちでしたら、ぜひ一度、私たちとお話してみませんか?
具体的な計画がなくても大丈夫です。住まいへの想いや日々の暮らしのこと、何でも気軽に聞かせてください。
「この間取りってアリ?」「こんな素材を使ってみたい」など、
ちょっとした疑問や夢の一片でも、私たちにとっては大切なヒントです。
建築のプロとして、きっと何かしらのお力になれると思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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