『名護市役所』を訪れて|外部と内部の境界線があいまいな空間がもたらす、心地よい暮らしのヒント
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- Writer:熊谷 直
こんにちは。設計士の熊谷です。
ここでは『住宅の設計に関すること』『居心地の良い空間』『お役立ち情報』等々、載せていこうと思っています。よろしくお願いいたします。
先日、沖縄に行く機会がありまして、ずっと行ってみたかった『名護市役所』に行ってきました。
1981年に建てられた建築で、象設計集団という設計事務所が手掛けた有名な建物です。建築を勉強していると絶対に目にする名作なので、学生の頃から「いつか行こう」と思いながら、なんだかんだ行けていなかった場所でした。
で、実際に現地に足を踏み入れてみて、一言で言うと……やっぱりすごかったです。写真で見ていた印象とは全然違いました。
どこからが「外」で、どこからが「中」なのか

名護市役所で一番印象的だったのは、建物を包み込んでいる「アサギ」と呼ばれる深い庇の空間です。沖縄の伝統的な日陰テラスのような場所なのですが、地元の赤瓦や風を通す花形ブロックが使われていて、風土に根ざした形をしています。

ですが、それ以上に私の心を強く揺さぶったのは、その「境界線のなさ」でした。
普通、市役所みたいな建物って、自動ドアがあって、入ると冷房が効いていて……というように、外と中がパキッと分かれていますよね。でもここは違います。

アサギの下の深い日陰、壁のない半屋外の廊下、風が通り抜ける吹き抜け。どこまでが外で、どこからが建物内部なのか、歩いているとだんだん境目が分からなくなってくるんです。
アサギに絡みついたガジュマルの葉っぱ越しに、柔らかい光が落ちてくる。花形ブロックの隙間から、光と影の模様が床にパラパラと落ちている。
で、その空間に置いてあるベンチで、地元のおじいちゃんがぼーっと涼んでたりするんです。市役所なのに、ほぼ公園なんですよね。
私も気付いたらベンチに座って、流れる風を感じながら1時間くらいぼーっとしてしまっていました。
その時に、しみじみと思ったんです。
「あぁ、人間って、こういう『内と外があいまいな場所』にいる時が、一番リラックスできるんじゃないかな」と。

住宅の設計で、この「あいまいさ」をどう作るか
私たちが普段設計しているのは、こういう大きな市役所ではなくて、ご家族が暮らす「住宅」です。
特に千葉県とか、都内、埼玉、茨城あたりのエリアで家を建てるとなると、敷地の広さも限られますし、どうしても「壁と窓で部屋をしっかり囲う」という作りになりがちです。
もちろん、今のハウスメーカーさんが得意とするような、気密性を高めて外の暑さ寒さを完全に遮断する設計も、安全で快適な暮らしのためには絶対に必要です。そこを否定するつもりは全くありません。
でも、家全体が分厚い壁で囲まれて、外とのつながりが遮断されてしまうと、どこか窮屈というか「箱の中に閉じ込められている」ような感覚になることってないでしょうか。
だから私は、住宅を設計する時に、どうやって「外と中をゆるやかにつなぐか」ということをすごく考えます。
・リビングの床とデッキの高さを揃えて、外に視線をすーっと伸ばす
・深い庇を出して、雨の日でも窓を開けて風を感じられるようにする
・庭の緑をちょうどいい角度で切り取るような、低い位置の窓をつくる
名護市役所みたいなダイナミックな空間は作れなくても、住まいの中にほんの少し「外を感じられる余白」を作ってあげるだけで、家全体の空気感が一気に柔らかくなるんです。

規格の箱ではなく、心地よさから考える家づくり
千葉で注文住宅を検討されているお施主様とお話ししていると、「ハウスメーカーのカタログから選ぶような家だと、なんだか自分の暮らしにしっくりこない」「もっと自然を感じられて、ホテルのようにホッとできる家をつくりたい」という声をよく聞きます。
決まった仕様の箱に暮らしを当てはめるのではなく、その敷地の風の抜け方や、光の入り方、周辺の視線をどう遮るか。そうやって一つひとつを紐解きながら、そのご家族だけの「心地よい境界線」を一緒につくっていく。
「壁で塞ぐんじゃなくて、こうやって視線を抜かすとこんなに広く感じるんですね」
そんな風にお施主様と一緒に発見しながら形にしていく時間が、私は設計士として一番好きです。
おわりに
「家の中でも、なんとなく風や季節を感じながら暮らしたい」
「ハウスメーカーの標準仕様にはない、自分たちだけの自由な間取りで建てたい」
もしそんな風に思われている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お話ししてみませんか?
無理な営業なんかは一切しませんので(笑)、美味しいコーヒーでも飲みながら、どんな暮らしがしたいか、雑談交じりにお聞かせいただけたら嬉しいです。
いつでもお待ちしております。
また、お家づくりに関する『ちょっとした疑問』や『こんなことをやってみたい』など、お気軽にご相談ください。何かしらのお役に立てればと思っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を書いた人