ムカデのジレンマ
下手だがゴルフをやっている。
結構長いことやっているが、うまくならない。
上手くなる人には特徴があると思っている。大きく2つだ。
まず、体系的にゴルフが上手になる指導を受けている。
要はデータがある。
「まあ、大体の人がこうやるとうまくなるよね」っていうベーシックで体系的な知恵はある。
なので、初心者の人にはゴルフスクールをお勧めする。間違いなくうまくなる最速はプロに指導してもらうことだ。
もう一つは、短期間にギュッと集中してゴルフに行くことだ。練習を含め。
回数行く。間をあけずに行く。よく行く。
上手な人はわずか30球でも毎日練習場に行き打つ。頭が下がる。
体系的に習う。
短期間、超量稽古する。
このあたりが上手になる人のコツっぽい。
当然ながら僕はどちらもやっていない。
ヘルニアがひどいので1年やったら1年クラブを握らないみたいな感じだ。
さて、なんでこんなことを書くかというと、上手な人が初心者にゴルフを教えるのをみていて面白かったからだ。
上手な人は初心者のエラーが気になる。
①握り方
・小指の位置
・握る強さ
・右手の開き具合
・振り上げた時の手首の角度
・振り下ろした時の手首の角度
・各親指のかぶり加減
etc
②態勢
・足の開き具合・スタンス
・ボールの置く場所
・重心の加減
・振り上げる角度
・目線
・背中の伸ばし方
etc
などなど、逐一気付いた所を「そうじゃなくてさ~」と教えていく。
ゴルフスイングは振り上げてから打ち終わるまで約2秒くらい。
その2秒の間におおよそ意識的でいなければいけない所が数十個ある事になる。
当然のことながら振り下ろす瞬間に小指の握りの強さなんか意識をしつつ、スタンスを、重心を左に移しながら、体を開かず右側で振るよう意識し、フォロースルーをきれいにとりながら、グリップを緩めないことを意識しながらフィニッシュする、なんてことを一瞬で判断し、体に命令をし、能動的に体を動かすなんて事はできない。
要は、体の末端に表れる現象っていうのは、体の芯、中央の部分で行われている事の、波及効果でしかないって事に気付く。
その末端に表れる現象を、モグラたたきのように是正していっても、あくまで末端は中央で行われる波及でしかないので、エラーは永遠に起きる。
見るべきは中央、芯、根本なのだと気付く。
そこが正しければ末端の細かな部分の細かなエラーは自然と是正される。
「末端の多くを意識的に考えすぎる」と、人は何もできなくなると思っている。
ムカデの自意識という話がある。マザーグース。
アリとムカデが会話のなかで、アリはムカデに
「なぜ、100本もの足を絡み合うことなく、整然と乱れることなく、目的地に向かい動かす事が出来るんですか?コツを教えてください」
と質問するとムカデがこう答える
「そうか、教えてあげるよ・・・・・2番目の足を出すときには32番目の・・・・・・・あれ」
と、自分がどうやって100本の足を動かしていたのか「意識的に考えた瞬間」一歩も歩けなくなり餓死した。
という寓話。
頭が末端に介入しすぎると身動きが取れなくなる。
行先と意向を伝えた後は、末端を信じれば正しく動く。
足一本一本を論理的に意識的にコントロール出来ようはずもない。
「目を瞑るというのも、リーダーの大切な仕事」
と、先輩経営者に言われたが、今、なるほど、そう思う。
自宅の玄関にへばりついていた20cm級のムカデをみながら、そんな事を思う。
今年のムカデはでかい。