そういうことの方が、実は長く暮らす上ではずっと

大切なのではないかと思う。

住宅は完成した瞬間がゴールではない。

むしろそこからが始まりだ。

植栽は育ち、外壁は少しずつ風化し、

住まい手の暮らしの痕跡が層のように積み重なる。

10年後、20年後、

建てたときよりも、その場所に馴染んでいる。

そんな建築は美しい。

建築単体で完結するものではなく、風景の中に溶け込みながら、

その風景を少しだけ豊かにしていく。

手賀沼の湖面をわたる風を眺めながら、そんなことを考えていた。

”そこにある風景を少しだけ豊かにする”建築。

少しだけでいい。


そして、作り手が持っている矜持や、

承認欲求を少しだけ奥に潜らせながら。

きっとそれも30台の時には思いもよらかなった思想なんだと思う。