一台で家中ポカポカ。蓄熱暖房機の解体新書

投稿日:2018年11月06日

11月に入りだんだんと肌寒くなってきて、お布団の恋しい季節となりました。

特に朝の冷え込みは、室内とお布団の中の寒暖差の誘惑でなかなか起床することができず、うっかり二度寝をしてしまう・・・なんていうことも(笑)。

そんな明け方や夜間の冷え込みにも負けず、お家の中で24時間ずっと快適な温度で過ごすことができる『蓄熱暖房機』というのを、皆様はご存知でしょうか?

 

この蓄熱暖房機。

藍舎モデルハウスにも設置してあり、寒さを感じ始める晩秋から草木も芽吹く春先まで。

暖房が必要なワンシーズン、ずっと快適温度で稼働しています。

そんな蓄熱暖房機について今回詳しくご紹介します。

 

 

 

そもそも蓄熱暖房機ってなんなの?


 

 

蓄熱暖房機という名前自体、初めて聞く方も多いと思います。

とても簡単にご説明すると『電気で数十個のレンガを熱し、熱を蓄え、部屋全体を温める機械』です。

もっともっと簡単にすると『暖かいレンガの塊をリビングにど~んと置くことで家全体を温めることができる機会』と言えると思います。

 

 

 

どんな見た目なの?


 

ずばり、見た目はこのようなもの  ↓↓↓  。

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大きさは容量ごとに7種ほどあり、温める部屋の広さなどによって決めていきます。

基本的には全館暖房に適しており、広さ30坪~40坪程度の家ならば、一番大きな容量の7kwのもの1台で十分暖かさを確保出来ると思います。

この一番大きな7kwのサイズが横幅で140cm程。
かなりの大きさになりますので 、蓄熱暖房機は設計段階で設置場所を決めてしまいます。

後付けが難しい器具なのが、ちょっと難点かもしれません。

 

 

設置風景を覗いてみた


 

 

折角なので、設置風景をご覧頂きましょう。

 

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蓄熱暖房機本体の白い箱の中身を見てみましょう。

 

 

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カパッと開けると、最初はからっぽの状態です。この横に走っている銀色の4本線が電熱コイルになっています。

この電熱コイルはこの本体の中に入るレンガを温め熱を蓄えていきます。

そう文字通り、蓄熱していくわけです。

 

 

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熱をためるレンガは正方形に近い形で中央部に波型の溝があります。

この波状の谷となっている部分にコイルが通ります。

このレンガ一つでも結構ずっしりきます。

参考までに何kgくらいあるのか?計ってみましょう。

 

 

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ひとつ約7kg。

この大きなレンガを本体の中に42個並べていきます。

単純計算で約300kg弱、かなりの重量ですね。

 

 

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ビッシリと積み終わりました。

ここに電熱コイルで熱を加えていき、レンガに蓄えます。
設置作業で変わっているなと思うのは、この専用レンガ入りで白い箱を運ばずに現場で組み立てていく事です。

なぜかというと、とても重いからですね。

微調整がきかないので最初から丁寧に積上げる必要があることと、壁や床にしっかりと固定するという作業が必要なのでレンガは現場積みとなります。

ですから、床の下地補強なども必要です。
2階に設置する際などは、かなり気を使う工事でした。

 

さてここで蓄熱豆知識!

この蓄熱暖房機、実はコンセントがありません。
このように、直結させて使用します。

 

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200vの専用回線になります。

この蓄熱暖房機と他の回路を混同してしまうと、すぐにブレーカーが落ちてしまいます。

ですので通電する際はスイッチオン・オフではなく、ブレーカーサイドでのオン・オフ操作となります。

 

 

 

家全体が暖まる原理 輻射熱(ふくしゃねつ)って?


 

今見ていただいたレンガへ、比較的電気代の安い深夜電力の時間帯に熱を加えます。

そして深夜に暖まったレンガの熱を、昼間の時間帯に『放出』して空間全体を温めます。

この時の暖まり方が蓄熱暖房機の最も大きな特徴です。

 

この蓄熱暖房機は温風をビュービューと出すものではなく、遠赤外線を使った暖かい輻射熱を利用しています。

輻射熱とは? 太陽の自然な暖かさ、遠赤外線を想像して頂ければと思います。

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焚き火の時に気温は0度に近いのに、火があたっているところはポカポカしてくる。

これは温風で暖まっているのではなく、炎が持つ熱が私達の顔に『移る』という現象です。
太陽の熱は極寒の宇宙空間を通過しても地表を暖めてくれます。

これは熱を電波として飛ばしているからです。

これが、遠赤外線です。

 

この蓄熱暖房機の暖かさは、まず室内の床や壁、そして天井をこの『輻射熱』で温めます。
暖まった室内の壁などがまたさらに輻射熱を私たちに与えてくれます。

このように家全体に熱が少しずつ移って行き『寒い部屋』がなくなります。
また温風が直接かかることがなくホコリを巻き上げないので、それも喜ばれているポイントではないでしょうか?

 

 

簡単な操作性


 

操作は至って簡単。

シーズンインとシーズンオフです。

機器自体にはスイッチのオン・オフボタンはなく、基本的にはブレーカー側で操作します。
ですから、寒い時期がきたらブレーカーをオンにします。

そして春先、外気温が暖かくなってきたらオフへと切り替えます。

 

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蓄熱暖房機を設置すると、ご家庭にある分電盤に『蓄熱暖房器』という専用スイッチ設置されます。

操作はそ専用スイッチをオン、オフします。

機器側の操作で気を使うのは『温度設定』と『ファン』です。

 

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このような操作盤がついており、設定温度と現在の室温、そして外部温度、現在の蓄熱量などを表示してくれます。

この写真は、右側が設定温度で、左側の数字が現在の室温ですね。

この蓄熱暖房機の優れているところは、シーズンセンサーが設置されていて外気温から蓄熱量を勝手に設定してくれます。

とても寒い季節はたくさん蓄熱し、暖かくなってきたら蓄熱量を少しずつ減らしてくれるんですね。

 

 

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屋外の外壁に写真のアンテナのようなものを設置します。

外気温が低い時には100%蓄熱し、外気が少し暖かな日は蓄熱量を少し減らしてくれます。
高性能のAIが入っているのですね。

私も含め、面倒くさがりの人には最高の操作性です(笑)。

 

 

実際の外気との温度差を計ってみました


 

 

実際に、冬場、どれくらい室内温度が安定してくれているのかを、モニタリングしてみました。

 

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外部はデッキ部分に。

 

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内部はキッチンの後ろのカップボードに置きました。

 

実際に計ってみると、一階二階ともに安定して19℃以上あります。
外気が3℃~4℃の時でも室内は20度近く保ってくれているので、暖かい室内空間・・・と定義して良いと思います。

当然 断熱性能 との兼ね合いもありますので、当社の場合は・・・となってしまいますが。

朝、昼、夜、関係なく保温してくれるのは、寒がりな方にとってはとても良い環境です。

またご高齢者の方のヒートショック死亡数は年間17,000人にものぼるので、局所暖房よりも全館暖房の方がより安全な環境かもしれません。

 

 

 

気になるイニシャルコストとランニングコスト


 

 

イニシャルコスト

 

色々と種類はありますが、今回は7wという一番大きな容量のもので比較してみましょう。
尚本体価格は各メーカーさんにより違いますが、おおよそ30万円前後となります。

また、設置の為の下地の補強工事などでおおよそ2~4万円程度、家の造りによっては費用がかからない事もあります。

最後にブレーカーからの200V専用回路工事、こちらも2~4万円程度です。

本体価格     30万円
下地工事  2~4万円
専用回路  2~4万円

以上が想定されるイニシャルコストとなります。

 

 

ランニングコスト

 

論より証拠です。

実際に設置しているご家庭や当社のモデルでモニタリングしてみましょう。

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1日あたりに直すと、11月で1日約261円になります。
まだ、暖かな日が多かったので、蓄熱量も少ないようです。
で、12月はグッと寒くなり、1日約502円になります。
1月~2月という寒い時期で同じく1日500円でした。

他各部屋での補助暖房は一切必要ありませんので、最も寒い時期での月間暖房費は15,000円が目安でしょうか。

各部屋でエアコン、オイルヒーター、石油ストーブなどで暖をとる。

もしくは、この蓄熱暖房機一台で家全体が温まる。

さてこれが高いのか安いのという判断をしていかなければいけません。
その為にメリット・デメリットをまとめました。

 

 

 

メリット・デメリット


 

 

メリット

  • 8時間(夜間)の通電で24時間の暖房を可能としており、お財布にやさしい
  • 燃焼部分が無いため一酸化炭素が発生せず、高気密・高断熱の住宅には快適
  • 強い風が無いのでホコリの舞い上げがない
  • カビやダニの原因となる結露を発生しないので、健康的でクリーン
  • 火を使わないので、不完全燃焼の心配もなく、お年寄りやお子様にも安心
  • とにかく操作が楽
  • モーター音がとても静か。30~34db(落葉の音程度)
  • 室内が一定の温度だから、ヒートショックや寝冷えなどを起こさない
  • 酔っ払って夜中に帰った時に玄関を開けた時にふわりと暖かい・・・・
    これは何者にも代えがたい(当社社長談)
  • 冬の朝に、布団から出るのが辛い事がない。二日酔い以外(当社社長談)
  • 奥さんのしもやけが治った(当社社長談)

 

デメリット

  • 重いため、設置を一度すると動かす事が出来ない
  • スペースを必要とする
  • 過乾燥気味になり、加湿が必要
  • 冬はいいが夏はただのモノ置き場になってしまう
  • 爆発的に温度を上げたい時には向かない
  • 外気温が乱高下した時に室内が暖かすぎて窓を開ける事も
  • 細かな温度調節が難しい
  • 24時間いつでも暖かいのは逆に言うと、共働きなどで昼間ほとんど家にいないご家族は無駄に温めてしまっているとも言える
  • 暑がりの人と寒がりの人の温度差を造ることができない(基本全館暖房の為)
  • 断熱性能が低い家では少しパワー不足(最低限省エネ等級4以上は必要)

 

 

結 論


 

今回記事を書いてみて思ったことは、やはりその家族の暮らし方と『夏偏重型』なのか『冬偏重型』なのかで採用がかわるのかなと思います。

また家にいる時間が夫婦・家族ともに少ない方は、少しロスが出てしまう可能性があります。
しかし誰もいない家に帰った瞬間、お部屋が暖まっているのは結構至福なことでもあるかもしれませんね。

 

※こちらの記事は株式会社藍舎ブログ『千葉のいい時間』一台で家の中ポカポカ。蓄熱暖房機の解体新書 (2016.03.31掲載) の記事を一部修正し、再掲載しました。

この記事を書いた人

大久保紀和子

大久保紀和子

2018年11月6日 投稿|